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初めの1歩
―2004年、末。
急に、
本当に急に、旅に出たくなった。
何もかも、全部ぜんぶ、ここに置いて。
いつも通る場所の地下にある、
怪しげな事務所、「ピースボート」。
よく見ると、帰り道にもあちらこちらにポスターが貼ってある。
「地球一周の船旅」
そう書かれたポスター。
あれは何? NGOらしいけど…何か怪しい団体?
でも何かしたい、何かしなきゃいけない、
もう限界だった私は
そのポスターに付いているハガキを一枚手に取り、大急ぎで記入した。
なぜそんなに焦っていたのかは、自分でもわからない。
ただ、
どこかへ行きたかった。
海を渡りたかった。
かつてない経験をしたかった。
リセットボタンを探したかった。
もう、私たちの乗る48番目の船が出港間近。
すべての準備が整っていて、
すべての人が熱く燃えていて、
すべてが大きかった。
でも
私にはそんな余裕は無い。
ボランティア、募金、ポスター貼り…いろんな仕事はあるけれど、
私はもう、すぐにその船に乗る。
そう決めたんだ。決まってしまったんだ。
時間が無い。
時間が無い。
みんながやっている作業を少しずつして、全く役にたてないまま
「あの船に乗るんだね~」としみじみ言うみんなとの温度差をもったまま
輪の中からちょっと外れて、まったく打ち解けられないまま…
わずか約1ヵ月後、
すでに私は横浜港。そして、海の上。
前置きはこのへんで、
乗っちゃおう。
メインは寄港地。外国。海外。
そう決めていた私の旅。
これから書くのは、
あれから3年、まだまだ自分の中で消化しきれていなかった
中々書く勇気が出なかった
旅のごくごく一部です。
私の旅のあらゆる物が入っているファイル、
あらゆる事が書いてあるメモ帳――。